・・・昼寝昼寝っと。こんなかったりー日は昼寝だぜ。
オレはクラヴィスの森の「お気に入り」の場所を目指していた。
不意に人の気配を感じ振り向くと幼い子供が泣いている。
げ、なんでこんなところに子供がいるんだ?
・・・もしかして、『迷い子』かよ。
でも、なんでオレが見つけてしまうんだよ。そりゃここの主の仕事だろーが。
オレそんなの見つけたくないし見たくねー!!
ちっ、しょうがねー、イヤな役目だけど、クラヴィスんトコへ届けてやるか。
ほっとくわけにもいかねーもんな。
「おい、何泣いてんだよ。お前の探してる相手の所にオレが連れてってやるから来いよ」
顔を上げたその子を見たとき、オレははっとした。
あれ、こいつ・・・どっかで見たことあるような…??
おっかしいな、初めて会った気がしねーんだが…
「よぉ、お前名前なんてーんだ?」
このオレが!手をつないでなんとかこいつを和まそうと似合わねー事言って努力してるのに。
泣き止んだのはいいけれど、こいつまったくしゃべってこねー。
・・・ったく、やりにくいぜ…。しかし、オレのこんな姿他のヤツラには見られたくねーよなー。
ちくしょうクラヴィスの野郎〜〜だからジュリアスの野郎にグチグチ言われるんだっての!
ん?なんだ?
ここを出れば道が開けてヤツの邸宅の窓が見えるはずなのに…どこだ、ここ?
まさか、迷っちまったのかこのオレが…
知った道のはずがなぜか違うところに出ていた。そして、進めば進むほど木々は深くなっていく。
ちくしょう…ここどこだよ。おかしいじゃねーか。なんだ??
迷うわけない森なのになんでだ?気が焦る。
「こんなはずじゃねーのに…」
「お兄ちゃん…お兄ちゃんに大事なお友達はいる?」
ふとこいつが口を開く。
道を見つけられず焦っていたところに不意をつかれた問い。
「あ?友達?…?」
なんだこいつ、突然変なこと聞いてくるよな。今はそれどころじゃねーってのに。
「ね、答えてよ」
また泣かれても面倒だし、しょうがない軽く答えとこ。
「昔はいたけどなー…今は……」
「ゼフェル!」
「!!!」
全く意表を突かれたランディの姿。一瞬言葉を失う。
「!…ラ、ラン…」
「どうしたんだお前?なんでそんなに驚いてるんだ?」
「え?…オレ、『迷い子』見つけちまったんで……あれ?」
先程まで手をつないでいたはずのあいつがいねー。迷ってたはずなのに見慣れたいつもの風景。
つないだ手のぬくもりは残っているのに…
「どこいっちまったんだ…アイツ。それにオレたち見たことない場所にいたのに」
「お前が寝ぼけて迷ってたんじゃないのか?ほら、行こう」
ランディはオレの腕を掴み歩き出す。
「ちっ、ンなこたぁねーよ!放せよ!一人で歩けるってば」
・・・それにしても、なんだったんだ、さっきのは…?
「・・・ってことがあったんだけどよー。クラヴィス。何か知らねー?そいつのこと」
翌日オレはクラヴィスの執務室で昨日の一件を聞いてみた。
「………………」
クラヴィスは無言で窓の風景を眺めている。こいつのこーいうトコやりにくいったら。
「…それは…もしかしたら………」
「じれってーなー、早く言えよ」
「あの者のかつての迷いが残っていたのかもしれぬな」
「? …誰だよ」
「お前もよく知っている者だ」
「んー??……わかんねぇよ。教えろってば」
「…その者はかつて守護聖になったばかりの頃、あまりの緊張感と周りへの心配りで自分の精神の均衡を崩しかけた。
周りには同世代の者もおらず年長者ばかりであったからな…。
「友人」がほしかったのであろう。少しずつ表情が硬くなっていった。
時々あの森にも来ていた…気付いていたのは私だけだったがな。
そんな所にお前が聖地に現れて、あの者は救われた…。
しかし、お前のその態度では別の意味で苦労してるようだが。あの者のかつての迷いがお前と重なったのかもしれぬな」
「…それどーいうイミだよ。『別の意味で苦労してる』ってよ」
なーんか釈然としねーんだが。言いたいこと言いやがって。
「! …お、おい、それってもしかして、ランディ野郎のことかよ」
「…フッ……さあな。そう思いたければ思うがよい。私は何も知らぬ…」
またいつものようにオレの存在など我関せずで水晶球を見るクラヴィス。もうこれ以上のことは聞けねーな。帰ろ。
「・・・邪魔して悪かったな」
オレはクラヴィスの執務室を出た。
まさか、あの馬鹿ランディもそんなことがあったのかよ。
オレは自室でベッドに大の字になって考える。
うるせージュリアスによくわからねークラヴィス、ある意味お節介ルヴァに年下を小馬鹿にするオスカーに何かペースの合わないリュミエール、
カティスは話わかってくれるだろうけどこっちから話しにくいだろうし、オリヴィエはあんな感じだろ……。
クセあるヤツらばっかだもんな。あいつみてーな変にマジメで真っ直ぐバカだとありうるかもしれねーな。。。
ふーん、でもあいつがねー…。確かにあの時、初めて会った気がしなかったってのはやっぱり…
オレはそんなことを考えながらいつの間にか眠りに落ちていた。
「なんだい?俺の顔に何かついてる?」
陛下の謁見が終わって俺たちは帰るところだ。まったく、めんどくせーよなー
「あ、あのさ、こないだよー、なんであんなトコにお前いたんだ?」
「? クラヴィス様の森のことかい? 何でだったかなー…。 あ、うん、なんとなくお前に呼ばれたような気がしたんだ」
「オレ、別に呼んじゃいねーぜ?」
「だから、そんな気がしただけだって。でもそれがどうかしたか?」
「ん?いや、なんでもねー。。。なんでもねーよ」
「? へんな奴だな」
そう言いつつランディはオレにいつもの屈託のない笑顔を向ける。
--------- 例え守護聖になりたてのかつてのランディにそんなことがあったとしても、今のこいつは… この笑顔なら心配いらねーよな… ---------------
「なぁゼフェル、俺、お前のこと同じ守護聖ってんじゃなく、大事な友達と思ってていいんだよな?」
振り向きざまランディはオレに問い掛ける。ほんとにもうこの馬鹿は…
「ばーか、そんなこと聞いてんじゃねーよ。そんな当たり前のこと」
奴に追いつき頭を軽く小突きざま追い抜く。
「ははっ、公園にでも遊びに行こーぜ!」
「☆! ああ!」
背後でジュリアスのやろーが何か言ってるけど気にせず俺たちは駆け出した
あの時、オレ「今はランディっていう大切な友達がいる」って言いかけたんだけどよ。ぜってー言うもんか。
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この二人の友情?を書きたかったんだけど・・・なんかちょっと違うモノになってしまいました〜〜(^^;ゞ
2004.03.04 up
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