Blue

何気なく湖に足が向いた。

緑の中で伸びをする。
「……っと。。。たまにゃ手足を伸ばさねーとな」
よく晴れた青空、周りの風景…そして心地よい風・・・彼はすっかりいい気分になり、木陰で横になる。

空のスカイブルー。。。彼は、彼の1つ年上の少年を思い浮かべる。 まっすぐな少年、そのまっすぐさ故にいつも彼とは衝突するのだが、それでも彼は内心それを嫌ってはいない。
『…っ。何でランディのバカのことが』
自分の連想を打ち消すかのように、半身だけ起こし否定的に首を横に降る。
湖の蒼さが目に入ってきた。

青。。。ランディをイメージする色が空なら、オスカーの野郎のそれは海の青さだろうな。ランディよりももっと深い・・・青。
彼は実際海を見たことがなかったのだが、彼の指導役から見せてもらった本にそれは載っていた。
綺麗な色だ。。。と印象に残っていたのである。

彼はイメージを膨らませる。
『・・・そう、じゃあ水・・・のリュミエールの色は・・・あんまり青くねーなー。こういう青じゃなくて
もっと薄い水色ってやつか?うん、そうだそうだ。あの部品の色だな』
先日購入した電気部品を連想する。『…あと青に近いのは・・・』

と、背後に人の気配がした。
『…?』
慌てて半身を起こし振り向くと同時に声がした。
「やあ、君もここに来てたのかい?」
声の主はセイランだった。
「こんなにいい天気だからね。あ、隣いいかい?」
彼が答える前に近づき隣に座った。

しばしの静寂。
突然の来訪者に何を言えばいいかわからない。何しろこの相手は
彼が何を言っても小馬鹿にしたような皮肉で返してくる。
その反応の度に自分が遊ばれているようでどうも苦手なのだ。
「・・・かい?」
セイランが口を開く。
不意の言葉に我に返った。
「?」
「そんな驚いた顔をしなくてもいいだろ? 君は何色が好きだい、って訊いたんだ」

突然の問いに戸惑いながらも答える。
「…あ、青かな…」
セイランはくすっといつもの笑みを見せる。そう、そのあとまたいつもの皮肉が返ってくるのだろう。
「・・・青か、まぁ一般的だね。でも、青にもいろいろあると思うけど。君はその違いも分からないのかい?」

その答えにまたいつものようにカチンと来てしまう。
「オ…オレだってそのくらい区別つくぜ!この空の青と湖の青は違うじゃねーか!」
それが更に自分を不快にさせると知りつつも彼は反応してしまうのだ。
「…君でも、それくらいはわかるようだね。じゃあもうひとつ訊くけど」
芸術的な質問でもされるのかと一瞬身構える。
「君だったら、どちらの青が好きだい?」

予想もしていない問いに一瞬虚を突かれながらも、目の前の風景にその時の気分で答える。
「・・・湖の青の方が好きだな」
「そうかい?君は・・・」

言いかけたセイランを彼は何気なく見る。
その横顔、その瞳の色・・・彼の持つイメージ・・・

「・・・・!!・・・・」
はっと我に返り慌てて立ち上がる。

「…?どうしたんだい?急に…?」

「オ、オレは青なんてキライだからな!いいか!覚えとけ!オレは湖の青なんてでーっきらいなんだからな!!…じゃあな」
慌てて走り去る彼に呆気に取られつつ残されるセイラン。
「・・・やっぱり面白いコだね。彼は…」くすっと笑い一人つぶやく。

『オレ、なんてこと思っちまったんだ、セイランのイメージが湖の青だなんて。それに加えてその色が好きだなんて。
だぁ〜〜〜〜っ!そんなコト絶対ねえ〜〜〜〜っ!!』

自分でも思っても見なかった発想に戸惑うゼフェル。
しかし、その思いがどこから来ているかとはまだ気付かない彼であった。

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なんか意味不明でごめんなさい。これはHABOKOさんに捧げます。・・・いらないでしょうがもらってね

2003.10.27 up

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